京都大学は、本学で生まれた研究成果(特許6990926B2号)ー相関解析法(基本特許)ーを活用する実用化に向け、株式会社オプテージとは、同特許のオプション契約を締結し、地震前兆現象検出技術の確立を目指し、株式会社オプテージと共同研究(2017.6.1-2022.3.31)を行ってきました。2024年3月1日、同共同研究中に生まれた研究成果ー特願2022-134733A (出願日:2021.3.4)、 及び同特許出願を基礎とする外国出願(中国、米国、台湾、インドネシア)ついて、国立大学法人京都大学、株式会社オプテージ, 京都大学教授 梅野健(Principal Investigator:研究責任者)の三者は、以下の通り最終合意に達しました。
1. 特願2022-134733A, 及び同特許出願を基礎とする外国出願(中国、米国、台湾、インドネシア)について、オプテージ側の発明者だけでなく京都大学側の発明者: 梅野健を加える。
2. 特願2022-134733A, 及び同特許出願を基礎とする外国出願(中国、米国、台湾、インドネシア)の出願人名義を株式会社オプテージから国立大学法人京都大学へ変更する。
また、2024年3月4日、本学京都大学は、日本の特許庁に対して同特許出願-特願2022-134733A-の審査請求を行いました。
梅野健教授コメント: 世界は広く、距離的に近くにあると思えた機関であっても様々な異なる考えを持ちます。この様な京大への100%特許移転の経緯に至ったきっかけは、オプテージ社が本学研究成果(京都大学特許ー特許6990926B2号)に基づく製品化を諦めたのがきっかけではなく、むしろリアルタイム前兆検出システムの製品化(製品名ー「Chamos」)が完成し我々も共同研究で同リアルタイムシステムを評価し始めたところから始まりました。本学の主張が共同研究が特許6990926B2号の利用をベースに開始したことから、また、共同研究の過程で、特許6990926B2号(当時未公開)の情報をオプテージに開示してアルゴリズムの改良をしていたことから、このChaomosの製品化には基本特許6990926B2号の本学からオプテージ社へのライセンス契約が必要であると主張したのに対して、オプテージ社の主張は、本共同研究期間中にオプテージ側が単独出願した特願2022-134733Aによるものだというもので平行線をたどりました。またこのオプテージ側が単独出願した特願2022-134733Aは、共同研究の成果を活用するものであり、出願に当たって、京大と締結している共同研究契約に基づき書面により合意が必要なところ、特許出願については具体的な相談は一言もなく、こっそりと出願されていました。これも問題であり、これは共同研究の成果(=共同研究上の秘密情報)を勝手に特許出願され公開されるという不正競争防止法にも引っかかる可能性があります。不正競争防止法の対象機関は、産総研の例にあった外国機関に限る話ではなく、日本の民間企業にも当てはまります。今回の三者間合意により、これらの問題が全て解決(最終的解決)することになりました。これが最終的解決の中身となります。この様に、本共同研究終了前に始まった2年あまりの交渉は、特許法、不正競争防止法、など何度も振り出しに戻った極めて困難なものであり、この産学連携は、薔薇色のはずが、茨の道となりました。またオプテージ側が技術供与先の京大の特許技術を利用する交渉に弁護士を立ててきて、京大もそれに応じざるを得なくなり、京大側の意図が十分伝わっていないなど、交渉が弁護士を通じての話となり2年近く時間をかけた挙句、一旦破談しました。ただ、それでも諦めずに、三者間の最終合意を目指したのは、当初の目標:大地震前兆現象の検出また検出技術の高精度化によって命を救いたいという基本理念、及びその理念そのものは三者間で共有できているはずである、またこの共同研究を途上のままで終わらせたくない、という一念でありました。 最後まで諦めずに、今回、別ルートで試み、三者間で最終合意が締結できて良かったです。本最終合意書締結においては、多くの関係者に大変お世話になりました。ここに深く感謝いたします。今後は、京都大学、また共同研究の研究責任者である京都大学梅野健が、本基本特許等をベースとした実用化、つまり前兆検出の更なる高精度化及びリアルタイム化とその早期の社会実装に向けて、より前(次のステップ)に進みたいと考えています。
同社から本共同研究の終了について公開された文書はありませんが、これが2017年6月1日に本学と開始した共同研究の結果及びそれに対する成果の取りまとめに関わる最終合意となります。
参考: 共同研究開始時の京都大学プレスリリース:地震先行現象検出技術の確立に向け、株式会社ケイ・オプティコムとの共同研究を開始しました。(2017年6月1日)
注:上記文書の太字の部分(経緯説明)については、オプテージ社が共同研究の途中で研究評価し本学の特許技術では地震を予知できないことを判断し、その旨を公開したという偽情報(実際には上述の特許の問題が話の核心であり、これ(京大の技術では地震予知が不可能と途中で判断して事業を諦め、特許を京大に移転した)は偽情報となります)を聞いたと日本地震予知学会元会長Hから京大の梅野に2024年3月14日連絡があり、偽情報の発信源は不明ですが、これ以上この偽情報の拡散を阻止するため、同日(=2024年3月14日)、追加し公開したものです。また産学連携の困難さを記録するためにも、この情報を曖昧にせず、公開する必要があると考えた次第です。いずれにせよ、革新的な技術を開発している者に対して、0から教えて欲しいと近寄ってきた企業が後から、実用化したがお前の特許は使っていないよと共同研究に4年間尽力したことを全く考慮せず弁護士を通じて訴えてくるーあまりにも都合の良すぎる主張をしてくるー経験を通じて、産学連携開始時の契約内容の重要性(雛形となっている大学の共同研究契約が緩かったので、ペナルティ条項を追加などをして本問題発覚後にメガバンクとの共同研究契約に反映、順調に共同研究を遂行中)、また、特に人の命が関わる技術については、お互い相当な覚悟が必要であり、それを試してパスしたものが、その研究の実用化を担うことができると再認識しました。前者(共同研究契約の契約内容)についてはすでにこの痛い経験を通じて別の企業との共同研究で実装しましたが、ただ後者については、結局相手側の”人”が今までの実績と行為から信頼できるかどうか、人間、企業に対する眼力を磨くしかない、それに尽きると考えてます。そのジャッジは厳し過ぎても、厳しすぎると言うことはないです。これが4年以上の膨大な時間を犠牲に大学人として得た、最大の教訓であった。(2024年3月17日追記, 2024年3月23日更新)
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