京都大学は、令和6年能登半島地震発生発生前後の電離圏異常のデータを公開しました。2024年2月14日

令和6年能登半島地震発生直前に果たして”前兆”と考えられる異常があったかについては、科学的にも社会的にも重要な問題です。ただ、科学的に”前兆”だと評価されるためには、その基礎となるデータが公開され、万人による検証に耐えうる様なものでなければなりません。我々の現時点で結論としては、確かに前兆となる現象があった(一部速報的に2024年1月1日に斜めイオノグラムで公開しました)と結論を持ってますが、それが第三者が検証可能な形で証明できる様に、本研究成果の公開を以下のプロセスで進めることとしました。

(ステップ1) 基礎となるデータの機関リポジトリ(京大KURENAI)による公開←今、ここ

このステップ1を早期に行うことにより、場合によれば、我々だけでなく他の研究者もそのデータを使って検証できます(研究データ早期シェアによる研究の加速化)。

誰が最初にやったかを研究データを秘匿したまま競うのではなく、誰が最初に公開したかを競う方が、本研究データの持つ公益性に資すると我々は考えます。

(ステップ2)論文化ープレプリントにて公開。通常の査読を経ます。

(ステップ3)論文出版。(研究開始してから約1年後)

ステップ1からステップ3の間では、学会発表、研究会、その他公開講演会で研究成果を発表することがありますが、全て機関リポジトリで公開したデータを元に行いますので、誰もがその結果を検証することができます。

今般の研究データ即時公開の趣旨:今までは、研究データを論文化し、出版する時に併せて公開することがほとんどでした。ただ、出版までに時間がかかり、出版してから第三者が検証するのに時間を要してしまうという問題がありました。2024年1月1日に発生した能登半島地震においては、論文出版に先立ち、まずその基となる研究データを速やかに公開することとしました。これにより学術会での議論と早期公開による検証プロセスを独立に切り分けて両者を併走させることができます。京都大学のグループは今後、本データ(2024年2月14日)及び後続のデータ公開(第二段,2024年2月下旬予定)を基礎に、能登半島地震の前後の電離圏異常の物理的特性の解明とともに、果たして令和6年能登半島地震発生直前に電離圏異常があったか否か、地震発生に先立つ電離圏異常があるとするならばその物理的メカニズムは何かを科学的に解明し、機関と連携して1時間前に電離圏異常アラートを発生するOHB(One Hour Before)システムの早期実現を目指します。

今回の公開データは、全て国土地理院GEONETのデータを基に計算した計算データです。

京都大学KURENAI(リポジトリ)上の研究データ公開リンク:http://hdl.handle.net/2433/286982

地震発生後に電離圏を同心円上の波が伝わる様子(ーみちびき2号機ー解析結果の抜粋):https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/286982/5/dTEC_AfterShock_QZSS2.mp4

その波のスピードは約867m/sであり、電離圏中に伝わる音波(震源付近から同心円上に放射)であると考えられます。最初の波はプラス(赤🟥)、その後続の波はマイナス(青🟦)に振れているという特徴も見えます。波源は、震源から10km離れた海上で津波の波源(東北大学 災害科学国際研究所による津波シミュレーション)と一致します。

(動画の図中の”Eruption Time”は”Earthquake Occurrence Time”(地震発生時)に読み替えてください。)

 

 

 

 

 

研究データ公開責任者:京都大学大学院情報学研究科 教授 梅野健

京都大学KURENAIデータ公開日時: 2024年2月14日16:02(日本時間)

参考:

(発表1)京都大学大学院情報学研究科数理工学コース修士論文発表会(2024/02/13) 13:50-14:05(日本時間) 津坂悠太 ”Integrated Analysis of Ionospheric Anomalies Related to Major Earthquakes and Massive Volcanic Eruptions”(京都大学吉田キャンパス総合研究8号館2階講義室2)

(発表2) 学会発表予定: 第20回日本応用数理学会連合発表会 津坂悠太、梅野健⚪︎、”令和6年能登半島地震に関連する電離圏異常” 応用カオス研究部会OS (3/6) 長岡技術科学大学(新潟県)

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