研究室12年(2012年4月1日-2024年4月4日)の研究成果を構成する69本の論文([1]〜[69])の中から厳選された11論文を発表します。論文が生まれた経緯やその背景などもここでは詳しく説明します。

I. [12]K. Umeno and K. Okubo, Exact Lyapunov exponents of the generalized Boole transformations, Progress of Theoretical and Experimental Physics (2016) vol. 2016, Issue 2. https://doi.org/10.1093/ptep/ptv195

アイデアが生まれた時期と場所: 2015年の始め頃, 京都大学吉田キャンパス研究室。

背景:一般化ブール変換(α(x-1/x))はα=1/2がcotθの2倍角写像でコーシー分布を持つ可解カオス(K. Umeno, Phys. Rev. E(1998) Vol. 58)であることが前世紀から知られている。αを動かすとカオス性とか分布の様子が大きく変わることはK. U.が院生(1990-1995)時代から知っていたがとても解析的に研究できるとは思っていなかった。α=1の時のBoole変換(x-1/x)のエルゴード性は、1973年Adler-Weissによって証明されていた。

内容:一般化ブール変換(αx-β/x,0<α<1,β>0)の混合性(従ってエルゴード性も)を初めて証明した論文。またエルゴード理論を駆使し、パラメータ付きでリアプノフ指数\(\lambda\)の立ち上がり(カオスの臨界現象)から最大値をとるまで厳密な解析解(\(\lambda=\log(1+2\sqrt{\alpha(1-\alpha)}\))として得た初めての論文。

 

経緯:研究当時(2015年頃)は当時はα=1の時(ブール変換)のエルゴード性だけ知られていた。0<α<1で一般的にエルゴード性がいえるのではないかと当時博士課程学生(D1)だった大久保君(2020.4大阪大学特任助教, 2023.4山陽小野田市立山口東京理科大学助教)に投げかけ一緒に考えた。また当時博士課程学生(D2)だった岩崎淳君(2017.4福岡工業大学助教, 2019.4京都大学助教を経て2023.11.1から佐賀大学准教授)も議論に参加。ただ1973年出版のAdler-Weissのブール変換のエルゴード性の証明方法はかなり難しく、一般化ブール変換に適用できずに困っていた。片っ端からArnold-Avez, 十時といった古典や最新のエルゴード理論の本を見るが解らない。そこでまず最初の一歩として、(αx-β/x,α>0)からα(x-1/x)への線形な同相変換を考え、そのエルゴード性を考えるという問題に帰着できることに着目。そしてある日、(K. U)が混合性写像への非線形微分可能同相変換を見つけ、エルゴード性より強い条件である混合性が一気に証明できた。混合性が証明できればエルゴード性も証明したことになる。またリアプノフ指数の解析的な表現を与えた。一方、この写像は間欠性(Intermittency)を持つ間欠性カオス(Intermittent Chaos)でもある。その時の分類を大久保健一君が与え、更に彼はα>1の時のリアプノフ指数がlog(α)であることも示し、一般のα>0の非カオスーカオスのリアプノフ指数の臨界現象の臨界指数(γ=1/2)を厳密に与えた(恐らく)世界で初めての論文となった。大久保君の博士論文調査委員会(2020)の時に、Onsagerの2次元Ising Modelの厳密解(臨界指数を厳密に導出)に匹敵する成果として研究室(大久保君、主査=(K.U))として主張したが、同調査委員であった青柳先生に穏やかに盛りすぎ(言い過ぎ)と言われた。 また可解格子模型のIsing Modelと同様に、その後の結合カオス系や一般化ブール変換の一般化(臨界現象があり、それが厳密に解析できる可解カオス系の基礎)となった。論文は速報性が高いことと、過去に質の良いカオスの論文が多数発表されていたPTPの後継の雑誌PTEPに投稿。一回のReviseを経てすんなりアクセプト。2016年2月出版。

プレスリリース: 約30年後(西暦2046年頃)その真価が解る研究なので、プレスリリースは不要と判断した。

II. [13]T. Iwata and K. Umeno, Correlation analysis for preseismic total electron content anomalies around the 2011 Tohoku-Oki earthquake, Journal of Geophysical Research: Space Physics(2016) vol.121, Issue 9, pp. 8969-8984. https://doi.org/10.1002/2016JA023036

アイデアが生まれた時期と場所: 2014年6-7月頃, 京都大学吉田キャンパス研究室(工学部総合校舎→総合研究10号館への引越)の前後。

背景: K.Uの前職(NICT)時空標準研究室に来た一枚のFAXが発端。そこには2011年東北沖地震発生直前に電離圏TEC異常があると報告。それが後に世界にセンセーションを起こしたGRL 日置論文(2011年)となった。ところが、その日置論文は地震発生後のデータを用いて電離圏異常を定義していたため、前兆ではないとの反論が山の様に出ていて世界は、”電離圏異常が地震前兆現象なのかどうか”混乱していた。 またK.Uは当時、2011年3月11日にちょうど新潟から磐越西線に乗り、会津若松から郡山(福島県)に行く途中、14:46, 東北沖地震が発生。そこから交通機関が遮断され甲信越・東北地方から東京まで最も早く通じる鉄道として開通する3月13日までの3日間の滞在先にて揺れながら”何故、こんな大地震が全く検知できないのか”を考え始める。またその時に”物理プロセスとしての大地震発生の前兆現象の検出技術確立とその物理メカニズムの解明は人類が取り組むべき科学的テーマ”との確信を得た。論文出版(2016.9月末)の5年半前のことである。またK.Uは311から更に遡ること7年前(2004-2005年頃)に相関解析(複数局同時刻の相関を考えることと平均ではなく信号の自乗を考えるのがポイント→SNが相関を計測する時間に比例して上がる)によりノイズの中に埋もれた微弱な信号を取り出すVLBI(Very Long Baseline Interferometer)の技術を絶対解読不能な暗号化(Shannonの意味のPerfect Cipher)する手法ーQuasar Encryptionーを提案し(日経新聞(日本)やNew Scientist(英)にCover)、日本米国に特許を取得していた。

内容: VLBI(Very Long Baseline Interferometer)やスペクトル拡散通信に基づく新しい考え方(通信の信号検出)をデータ解析に持ち込む新手法を発案し(上記背景参照)、地震発生前のデータのみを用いて異常を直前に検出することに成功し、そのー地震前兆現象が地震発生前のデータのみから検出できるかーの論争に終止符を打った。本手法のデータ解析技術は基本携帯電話(3G)でリアルタイム処理が可能な軽い計算技術であることから、このデータ解析手法ー相関解析法(CRA)ーを、リアルタイムに電離圏異常を地震発生前に検出する汎用的なデータ解析手法として相関解析法(CRA)を提案した。

経緯: 岩田卓也君(研究室:2014年4月-2017年3月, 現在NTTデータ)が最初に本研究に関心を持った学生であり、最初の前兆データが出始めたのが2014年である。彼が大学入試の年に起きた2011年東北沖地震を対象とした。 TVは来るはずないと思って臨んだ2016年9月末の京都大学での記者会見に各局のTV局の取材があり、その様子はNHK(おはよう日本など)などのTV, 新聞記事で全世界に発信された。特許は、日本(特許第6990926号)米国(US11016206B2号)中国(CN 110023789 B号)台湾(発明第 I 767962号)で登録されていて、インドネシアもつい先日特許査定され、現在世界的に利用可能となっている。最近、トルコ及びシリアで大地震が起き多数の犠牲者が出たことから、本研究開発技術(ICT)により防災に資するシステム提案(OHB: One Hour Before)を国連が着目し、本技術の世界規模の活用と社会実装に関心を寄せている。論文はJGRに投稿。一回完全にリジェクト。大幅修正して再投稿。ちょうど客員研究員で滞在していた台湾大学(電機電子)で修正し、8月に客員教授として滞在していた東大物性研にてAcceptの連絡。自由に研究させてもらったHomer教授(台湾)、川島教授(東大)に感謝。

プレスリリース: 大地震発生直前の電離圏異常を検出 -マグニチュード7以上の大地震の直前予測の可能性-(2016.10.3 京都大学)

III. [10] K. Umeno, Ergodic transformations on R preserving Cauchy laws, NOLTA , IEICE(2016) Vol. 7, Issue 1. pp.14-20(Invited Paper). https://doi.org/10.1587/nolta.7.14

アイデアが生まれた時期と場所: 2015年。京都大学吉田キャンパス総合研究8号館講義室3や研究室

内容: 2016年に熊本地震が起きた。その直前に熊本大学の常田先生からNOLTAに特集号を企画するので、論文を書いてくれないかと打診され、受諾。 密度関数のフーリエ変換にあたる特性関数をカオスモンテカルロ 計算で導出する公式=カオスフーリエ変換 の考え方も提案。cot,tanの倍角公式からなる可解カオス写像の尺度母数の変換公式がcoth,tanh公式で与えられることを示す。エルゴード理論によるリーマン予想のStatementなども無限個の可解カオス(cot, tanの加法公式)で行う。尚、コロナが流行っていて家に閉じこもっていた時にMathematicaで試してみたが、やはりリーマン予想は成立しているらしいことが可解カオスのシミュレーション(カオスモンテカルロ シミュレーションで分かった。

経緯: 2015年の物理統計学特論(総合研究8号館講義室3)は毎週の様に一般化ブール変換に関係する結果が出ていて、講義中に今週得られた結果を黒板で日付をつけて紹介していた。出来立てホヤホヤの証明を学生の前で書いてのフィードバックもあり講義中に講義した内容だけでなく、講義中に気づいたエッセンスが含まれている。

プレスリリース: 約50年後、真価が解る論文のため、プレスリリースは不要と判断した。

IV. [17] T. Iwata and K. Umeno, Preseismic ionospheric anomalies detected before the 2016 Kumamoto earthquake, Journal of Geophysical Research:Space Physics (2017) Vol. 122, Issue 3, pp.3602-3616.

https://doi.org/10.1002/2017JA023921

アイデアが生まれた時期と場所: 2016年熊本地震前震(4/14), 本震(4/16)のNewsを受けすぐ。京都大学吉田キャンパス研究室

背景: 宇宙天気に伴う電離圏異常と地震準備過程に伴う電離圏異常との区別が不明だった。文献[2]の異常検知法がどの程度の大きさの地震まで適用できるかが不明であった。 

内容: 2016年熊本地震の電離圏異常を初めて指摘した論文。宇宙天気の一種であるMSTID(Medium Scale Traveling の移動速度が大地震発生直前に遅くなる(通常時よりは低速である→停滞している様に見える)という現象を世界で初めて指摘した論文。宇宙天気由来の電離圏異常と地震由来の電離圏異常は区別すべきという常識を覆し、地震の準備過程で宇宙天気の電離圏異常(例: MSTID)に影響を与えうると初めて指摘した論文。また相関解析法(CRA)-JGR(2016)-の適用例の2つ目の地震にあたる。この相関解析法は宇宙天気異常のコヒーレントな時間相関をも明瞭に捉えることができることも示し、宇宙天気による電離圏異常と地震由来の電離圏異常の識別、あるいはその識別により, 地震前兆現象としてのより精度の良い電離圏異常に基づくより実用的な地震検知法(約1時間前に異常を検出し公開する方法)のシステム化を考えるきっかけになった論文。

経緯: [2]の手法を熊本地震本震直後に適用し、明白な異常が出たのでそれを論文にNatureに投稿。あっさりEditor返し(コンセプトが新しく無い、専門誌へ投稿を勧めるという理由)。その次GRL(AGU)に投稿。MSTIDであるとReject. (違う。通常のMSTIDとは異なる。)その後JGR投稿し、一回書き直し、2017年2月にAccept. この記者会見にもTV局が複数局来て毎日放送、関西TVや新聞などで報道。

プレスリリース: 熊本地震発生直前にも電離圏異常が起きていたことを発見 (2017.03.01京都大学) 

V. [18] H. Okada and K. Umeno, Randomness Evaluation With the Discrete Fourier Transform Test Based on Exact Analysis of the Reference Distribution, IEEE Transactions on Information Forensics and Security (2017), Vol. 12, Issue 5, pp.1218-1226. DOI: 10.1109/TIFS.2017.2656473

アイデアが生まれた時期と場所:2014年から2015年頃。インドネシアのタンゲラン及び京都大学研究室

背景: 元々はギガビット暗号プロジェクト(2001年開始)→カオス暗号チッププロジェクト(ギガビット暗号プロジェクトを2002年に吸収合併。)で行われていた研究ー新カオス暗号の設計評価ーが発端。当時、新カオス暗号の評価としてその生成ビット列の乱数性評価しかなかった。当時の研究室の研究員であった金成主さん(現在Sobin Institute President)、長谷川晃朗さん(現在ATR室長)と京都の関西セミナーハウスでNISTの乱数性検定について合宿。その傍ら派遣(技術職)として当時CRLに働いていただいた児嶋和歌子さんがAESなどのNIST乱数検定結果を毎日評価していた。そのうちに、彼女のNIST乱数検定結果に妙な偏りがあることに気づき、それが計算の誤りかそれとも検定主張そのものが誤っているのか検討した結果、検定手法そのものが誤っていることを2003年暮れのIEICE ISEC研究会にて発表(世界で初めて標準的乱数検定手法の誤りを公表)。そして論文 (以下KUH論文)として2004年1月に公開した。それが, Corrections of the NIST Statistical Test Suite for Randomness という論文で, 世界で初めてAESという国際標準選定に使われていた乱数評価テスト(つまり乱数評価テストの標準版)に致命的な結果があるという指摘を公開する論文となった。これは、我々カオス暗号チッププロジェクトのメンバーにとって誇らしい結果となったが、世界の暗号の権威に”誤っている”と指摘する, つまり世界の権威に楯突く論文なのでなかなかアクセプトされない。ただそのうちに、他の世界中の多くの研究者が注目し、引用されるようになりこの分野の礎となる論文になった。なお同論文で指摘したのは2つの問題提起であり、①離散対数問題テスト(DFTテスト)、及び②Lempel-Zipfテストが誤っているというものであり、本論文V.[18](2017)は, KUH論文の13年後、このNIST SP800-22乱数性評価テストのDFTの参照分布が厳密に求めることができないというDFTテストの致命的な欠陥を克服する初めての論文となった。

内容:

プレスリリース: 暗号安全性評価テストの欠陥を克服し、証明可能な安全性を持つカオス暗号を提案 -今後の暗号安全性や乱数性評価に貢献-(2017.07.04 京都大学)

 

VI. [28] M. Shintani and K. Umeno,Super Generalized Central Limit Theorem —Limit Distributions for Sums of Non-identical Random Variables with Power Laws—, Journal of the Physical Society of Japan (Letter) (2018) Vol. 87, 043003 https://doi.org/10.7566/JPSJ.87.043003

注:2018年4月JPSJの最多ダウンロードの記録(久保亮五線形応答理論(JPSJ)をダウンロード数で瞬間的に抜く。)

https://journals.jps.jp/page/jpsj/most_downloaded_2018_04

アイデアが生まれた時期と場所: 2016年12月-2017年1月頃, 京阪電鉄出町柳駅地下ホーム。

背景:

内容: 一般化中心極限定理を更に一般化した。異種のべき分布(但しべき指数αは同じ)の重ね合わせも安定分布に収束することを示した。

経緯: 超一般化。2016年度のある冬の日。京阪の出町柳駅で終電(特急)に乗り込む新谷健君(当時M2で修士論文追い込み)を(K.U)が発見。その瞬間に、超一般化のアイデア(特性関数の積の部分の指数部分がランダムに揺らいでもエルゴード性から一意に定まってユニークな安定分布に収束するというもの)の全てを(K. U)が閃く。ラフなアイデアをまず京阪出町柳駅から中書島までの特急に乗っている間に伝え、翌日新谷君にパラメーター変動するべき則の和でも安定分布に収束するに違いないと説明。実際に安定分布に収束した。エルゴード定理の時間平均=位相平均を、特性関数の指数の肩の部分で適用するところがポイント。修士論文のテーマを独立な2つテーマの和にする。名前=超一般化中心極限定理と内容の両方(名実ともに)気に入っている。物理統計学、物理統計学特論でもよく出てくるテーマ。普遍超一般化中心極限定理もその後(K. U)によって発表(2021)。(まだ内容が足らないので内容は付け足す予定。2023.5.6)

プレスリリース:なぜ世界は「べき則」であらわされるのか -ビッグデータの新しい統計法則の発見-(2018.04.02京都大学) 

VII. [26] H. Tsuda and K. Umeno, Weyl Spreading Sequence Optimizing CDMA, IEICE Transactions on Communications (2018) Vol. E101B No.3 pp.897-908. DOI: 10.15187/transcom.2017EBP3139

アイデアが生まれた時期と場所:2013年から2016年。京都大学の研究室

背景: 非同期CDMAにおいて負相関を持つ拡散符号がホワイトノイズに近いGold符号や嵩符号と比較して干渉雑音を抑え最適であることが知られていた。またホワイトノイズに近いGold符号などを、その最適な指数関数的に減衰する負相関性を持つ符号に変換する線形FIRフィルタをエルゴード理論に基づくルベーグスペクトルの考え方で構成し(LSF:Lebesgue Spectrum Filter, (KU)2000年頃発明、特許化された。), CDMAの容量を理論上15%上げることが解っていたが、2005-2010年の理研の次世代移動体通信研究チームにおいて、帯域制限をかけるとそのメリット(その理論的な評価の貢献は、現在特許庁審査官の行田悦資博士(東京大学池上高志研で博士号取得)によるところが大きい。)が享受できないという問題が明らかになった。そこで、今までの実数の拡散符号ではなく、複素拡散符号であるパワー一定のカオス拡散符号(この理論的な評価は同じく理研の研究員であった高橋亮博士(東京理科大学鈴木増雄研で博士号取得,現在京都先端科学大学准教授)によるところが大きい。)の理論的な評価も行っていたが、このままだと既存の符号(Gold符号や嵩符号)と比較して格段にパフォーマンスの違いがある符号は構成できないのではと考えられていた。

内容: 発想の根幹的なところは以下の通りである。まず、符号の種類はランダム(カオスを含む)な信号、周期的な信号と大別される。周期的な信号は例えばOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)で使われるが、2012-2013年当時、準周期的な信号を通信で取り入れるという発想は世界中どこにも無かった。(これは今(=2023年5月6日)でもそうかもしれない。)。また、通信の品質を決める干渉雑音は定式的には、モンテカルロ計算法(MC)における誤差分散と本質的には同じであり、干渉雑音を抑える符号=MCの誤差分散を小さく抑える符号という関係があり、MCでは乱数と周期信号の中間である準周期的な系列(準乱数)が誤差を抑えることが知られていた。また量子力学が生まれる前に、Bohr(Harald August Bohr, Niels Bohr(ニールス・ボーア)の弟。兄のNielsより優秀であったという説は聞いたことがあるが確かめようが無い。どちらも優秀というしかない。)によって概周期関数の理論が構成され、ヒルベルト空間上の基底になることも知られていた(Nobert Wienerなど)。その簡単な場合が、Weyl(Hermann Weyl )によって与えれた(無理数)倍角の回転で与えられる系列でありエルゴード性が証明されている(Arnold-Avezの教科書参照)。それを我々はWeyl系列と呼び、そこで拡散符号にこれらの概周期関数を用いる概周期関数符号を作り、(KU)はまず2013年にチップ同期のCDMAにおいて通常の拡散符号と異なり格段に干渉雑音が押さえられるとの基礎検証がなされ(2014年3月の日本応用数理学会連合発表会応用カオスOSで発表「Superefficientなモンテカルロ計算を基礎とする超高密度CDMAシステムについて」)、これら概周期関数を用いた符号を用いた通信を研究室で本格的に研究する新テーマにすると決めた。2014年の春のことである。そのちょうど2014年の4月に研究室に中澤勇夫さん(NICTより、社会人博士課程2014-2020, 2020.3博士(情報学)取得,1944.3.19-2020.8.11)がD1、津田宏史君(2014.4.1-2020.3.31,2019.3博士(情報学)取得)がB4として入ってきた。そこで中澤さんにはOFDMの周期→概周期への変更、津田君にはCDMAのカオス→概周期の変更を視野にまず真にカオスであることが証明されている軌道でカオス拡散符号を用いたCDMAの評価の研究をスタートした。転機となったのは2015年度であった。津田君がまず非同期CDMAの干渉雑音を、Weyl系列を基底として表現することに成功(Tsuda and Umeno, “Orthogonal basis spreading sequence for optimal CDMA“, JSIAM Letters Vol. 8(2016) pp.77-80.)した。一方、中澤さんが(K.U)の概周波数周期信号の通信の応用をヒントに新たに概周期周波数配置という考え方を思いつき, PAPR(Peak to Average Power Ratio)を下げ、周波数有効利用が図ることができるというシミュレーション結果を得て、我々は特許を出願した。それが2021年3月26日に登録された特許第6858405号である。次の年度(2016年度)、パワー一定カオス拡散符号の代わりにWeyl系列の範囲(パワー一定に限る)で非同期CDMAの干渉雑音の分散に関わる量を最小化することに成功、これが最適CDMAを実現するWeyl系列の構成論文である。これは非同期CDMAの従来の最適符号(負相関)は全てのユーザーが同じ相関構造の拡散符号と異なり、それぞれのユーザーが適度にばらけた相関構造を持つとより多くのユーザーと非同期同時接続ができる、その最適化に初めて具体的な解を与えた論文として評価できる。

経緯: 最初IEEE Transactions on Communicationsに投稿。通信分野のトップジャーナルである。もう一つの別の論文「Non-Linear Programming: Maximize SINR for Designing Spreading Sequence」はこの論文誌にAcceptとなったが本論文はRejectとなった(1年くらいかかる). 編集者及び査読者共に全く見る目が無い。そこで、IEICE Transactions on Communicationsに再投稿し、一回のRevisionを経て再録。

関連特許: US Patent No. 10,924,199 B2および日本国特許第6652760号

プレスリリース: 戦略的にプレスリリースは不要とした(詳細理由は非開示)。 

VIII. [31] S. Goto, R. Uchida, K. Igarashi C-H. Chen, M-H. Kao and K. Umeno, Preseismic Ionospheric Anomalies Detected Before the 2016 Taiwan Earthquake, Journal of Geophysical Research:Space Physics (2019) Vol. 124, Issue, pp. 9239-9252.

https://doi.org/10.1029/2019JA026640

アイデアが生まれた時期と場所: 2017年9月頃、台湾台南市の成功大学, 台湾台北市中央気象局, 京都大学

背景:TEC相関解析(JGR(2016))は、日本の地震-2011年東北沖地震及び2016年熊本地震ではその効果-地震発生前のTEC異常を捉える-がはっきりと出ていたが、日本以外の地震でも異常が捉えられるかどうかは解っていなかった。

内容: 2016年台湾南部台南で起きた地震(2016年台湾地震)の直前の電離圏異常を世界で初めて捉えた論文。

経緯: JGR-Space Physics. 激しい攻防の後(一旦リジェクト)一回差し戻し。その後抜本的に書き直してReviseの上Accept。ハッキングされてアクセプトから出版まで1ヶ月伸びる。2019年11月に公表して、年間最多ダウンロード数賞を獲得。どこか(の国?)で集中的にダウンロードされたらしい。

2016年台湾南部地震の初めての電離圏異常。この地震発生前の電離圏異常は、かなり顕著な電離圏異常で線状の構造を持っていることを複数衛星の軌道による解析から発見。

プレスリリース: 2016年2月の台湾南部地震直前の電離圏異常を発見 -電離圏データ解析が大地震の減災・防災に資する可能性- (2019.10.17 京都大学)

京都大学(梅野教授・情報学研究科)との共同研究における台湾南部地震(2016年2月発生)直前の電離圏異常の発見に関する論文および成果発表についてのお知らせ(2019.11.05 オプテージ)

IX. [34] S. Kakinaka and K. Umeno, Characterizing Cryptocurrency Market with Lévy’s Stable Distributions,

Journal of the Physical Society of Japan (2020), Vol. 89, 024802. https://doi.org/10.7566/JPSJ.89.024802

アイデアが生まれた時期と場所: 2017年。京都大学吉田キャンパス研究室。

背景: 暗号通貨の価格変動の分布が安定分布なのか、経済物理学の大御所であるスタンレー(ボストン大学)のグループが主張する様にキュービック則に従うのか不明であった。それによりある者がキュービック則に従うとし、別の者が一般化中心極限定理の考え方から安定分布に従うと主張(主に(K.U))、どちらが正しいか解らず混乱が生じていた。

内容: 暗号分布の価格変動分布の論争に関してある意味終止符をうった論文。特性関数の近さをL2ノルムで測り、キュービック則より安定分布の方が近いことを示した。一方、べきの裾野の部分は、分散の発散が起こらない様にキュービック則により近似できることを示した。つまりどこを見るかによって、安定分布かキュービック則かは答えが違ってくることを初めて指摘した。それが混乱のもとであった。その後、本論文含め7本の査読付き論文を出版して2023.3に博士(情報学)を取得し卒業した柿中晋治の初論文。

経緯:JPSJに投稿。やたら詳しい人に査読者が回る。その質問全てに十分時間をかけて回答して最終アクセプト。キュービック則論争が続く問題に一定の回答を与えたとして大学で2020年1月24日プレスリリース。結果コロナ前最後の記者会見となった。

プレスリリース: 暗号通貨のビッグデータが持つ普遍的な統計則を発見 -「安定分布」と「キュービック則」による統一的な特徴付けに成功-(2020.1.24 京都大学)

X. [43] K. Okubo and K. Umeno, Infinite ergodicity that preserves the Lebesgue measure, Chaos (2021) Vol. 31, Issue 3, 033135.

https://doi.org/10.1063/5.0029751

アイデアが生まれた時期と場所: 2015年の秋頃。名古屋市鶴舞図書館。その後京都大学吉田キャンパス研究室。

背景: Boole 変換\(x-1/x\)がルベーグ測度\(dx\)を保存する変換であることが19世紀にBooleにより知られており、20世紀にそのBoole変換がエルゴード性を持つことがAdler-Weissによって証明されていた。一方、Boole変換に\(\frac{1}{2}\)を掛けるとcotの倍角公式として与えられる可解カオス(K.U,Phys.Rev. E(1998))となりコーシー分布を保存し、更にcotのn倍角公式で与えられる可解カオスが知られていた。

内容: Boole変換の一般化に成功。ルベーグ測度dxを保存する無限個の無限エルゴード性の発見。

経緯:そのオリジナリティから絶対の自信を持ってまずChaosに投稿。一回Reviseを経て無事Accept.

プレスリリース: 約50年後(西暦2070年頃)にその真価が解る研究なので、プレスリリースは不要と判断した。

 

XI. [55] T. Kano and K. Umeno, Chaotic synchronization of mutually coupled systems–arbitrary proportional linear relations, Chaos (2022) Vol. 32, Issue 11, 113137.

アイデアが生まれた時期と場所: 2021年。京都大学吉田キャンパス

背景:

内容: 任意の比例関係 \(X_n=\alpha Y_n\) を持つ一般化カオス同期現象の構築。意外性のある面白い結果。見つけた現象そのものの意義は100年後に理解されるかもというものかもしれないが一応査読を経て出版された。当時M2の加納君(2022年)の修士論文の核となる成果。B4, M1, M2の3年間で論文3つ分の研究成果を出した学生。

経緯: そのオリジナリティから絶対の自信を持ってまずChaosに投稿。一回Reviseを経て無事Accept.

プレスリリース: 100年後(西暦2120年頃)にその真価が解る研究なので、プレスリリースは不要と判断した。

その他(参考その1): チュートリアル論文

[49] 梅野健, 可解カオスの数理と応用(1)―可解カオス写像―, 応用数理(2022), Vol. 32, No.1, pp.37-45.

https://doi.org/10.11540/bjsiam.32.1_37

[53] 梅野健, 可解カオスの数理と応用(2)―双対性―, 応用数理(2022), Vol. 32, No.2, pp. 99-108. https://doi.org/10.11540/bjsiam.32.2_99

[54] 梅野健, 可解カオスの数理と応用(3)―情報保存則と完全暗号―, 応用数理(2022), Vol. 32, No.3, pp. 160-169. https://doi.org/10.11540/bjsiam.32.3_160

[57] 梅野健, 可解カオスの数理と応用(4)ー可解カオスの揺籃としての虚数乗法論ー, 応用数理(2022), Vol. 32, No.4, pp. 221-234. https://doi.org/10.11540/bjsiam.32.4_221

その他(参考その2): インパクトファクターが一番高い論文

[47] S. Kakinaka and K. Umeno, Cryptocurrency market efficiency in short- and long-term horizons during COVID-19: An asymmetric multifractal analysis approach, Finance Research Letters (2022) Vol. 46, Part A, 102319. https://doi.org/10.1016/j.frl.2021.102319 (Impact Factor=9.846, このFRLのImpact Factorは物理分野のトップジャーナルPRLのImpact Factor=9.185よりも微妙に高く、現在も上昇中である。)

その他(参考その3):ページ数が一番多いジャーナル論文 

[8]大久保健一,梅野健,弱カオス系のカオス性判定について, 日本応用数理学会論文誌(2015), vol.25, No.3, pp. 165-190.https://doi.org/10.11540/jsiamt.25.3_165 (26ページ)

[66] H. Tanaka and K. Umeno, “Bayesian Updating on Time Intervals at Different Magnitude Thresholds in a Marked Point Process and Its Application to Synthetic Seismic Activity”  Journal of Physical Society of Japan (2024) Vol. 93, 024001. (26ページ)

その他(参考その4):六ヵ国(英語,ロシア語, フランス語, 中国語, アラビア語, スペイン語)に翻訳され出版された論文

[4] K. Umeno and M-H. Kao, Chaos Theory as the answer to limited spectrum?, ITU News (2013) No. 10. https://www.itu.int/bibar/ITUJournal/DocLibrary/ITU011-2013-10-en.pdf

プレプリント(Preprints)

[P0] K. Okubo and K. Umeno

[P1] M. Shintani and K. Umeno (2022) (preprint)

アイデアが生まれた時期と場所:2019年。京都大学吉田キャンパス研究室及びフォルシア技術研究所(東京、新宿区) 

内容: Exponential Booking Curve の発見及び実証的研究。

社会人博士ダイナミックプライシングプロジェクトの中心となる成果。新谷君は博士課程進学時に当時2つの査読付き論文(JPSJ, PTEP)が既に出版されていたが、それプラスあと一本(ドクター論文の基準は査読付き論文3本の出版)で安直にドクター論文を取ることはせず、1から会社でダイナミックプライシング事業の立ち上げの中心人物として関与し、3本まとめ切って2022年9月博士(情報学)の学位を取得。その中心的な論文。フォルシアから派遣の社会人博士。

[P2] T. Mao, Okutomi and K. Umeno (2022)(Preprint)

アイデアが生まれた時期と場所: 2020年-2022年。京都大学吉田キャンパス周辺

脳と心臓がつながっているという最高に面白く、でももっともらしい仮説を心拍変動のカオス解析で実証。研究室で実験も行う。真尾さんは2023年3月、博士(情報学)代表で学位を取得。東芝情報システムから派遣の社会人博士。

謝辞: 東芝情報システムとの共同研究。共同研究スタート当時、同社伊藤壮介社長に数理工学概論でも講義いただく。

[P3] H. Tanaka and K. Umeno (2023) Preprint.

論文リスト(2012.4.1-2024.3)

(2024)

[69] S. Iwasaki and K. Umeno, “Learnability of chaotic nature of generalized Boole transformations with GANs”JSIAM Letters (2024) Vol. 16, pp. 57-60.(2024-08 月間アクセス数No. 1)

[68] K .Takahisa and K. Umeno, “Chaotic synchronization of mutually coupled non-chaotic systems”JSIAM Letters (2024) Vol. 16, pp. 33-36. (2024-07 月間アクセス数No. 1, 2024-08 月間アクセス数No. 4)

[67]  A. Mizuno, M-H. Kao, K. Umeno, “A capacitive coupling model between the ionosphere
and a fault layer in the crust with supercritical water”, International Journal of Plasma Environmental Science and Technology (2024) Vol. 18, No.1.

[66] H. Tanaka and K. Umeno, “Bayesian Updating on Time Intervals at Different Magnitude Thresholds in a Marked Point Process and Its Application to Synthetic Seismic Activity”  Journal of Physical Society of Japan (2024) Vol. 93, 024001.

(2023)

[65] H. Matsuyama, M-H. Kao, K. Umeno, “Super orthogonal chaos codes with primitive roots”,

JSIAM Letters (2023) Vol. 15, pp.129-132.

[64] Pavlos I. Zitis, Shinji Kakinaka, Ken Umeno, Stavros G. Stavrinides,
Michael P. Hanias, Stelios M. Potirakis, The Impact of COVID-19 on Cryptocurrency and Forex Markets Efficiency, Entropy (2023) 25 (12), 1622

[63] S. Kakinaka, T. Hayakawa, D. Kato and K. Umeno,

Fractal portfolio strategies: Does scale preference of investors matter?, Applied Economics Letters (2023).

[62] H. Tanaka and K. Umeno, A Bayesian Inference Method for a Large Magnitude Event
in a Spatiotemporal Marked Point Process Representing Seismic Activity
, Journal of Physical Society of Japan (2023) Vol. 92, 113001.

[61] M. Shintani and K. Umeno, Average booking curves draw exponential functions, Scientific Reports (2023) Vol. 13, Article Number: 15773

[60] T. Mao, H. Okutomi and K. Umeno, Analysis of the limit values of chaos degree for infinite number of partitions in asymmetric tent maps, JSIAM Letters (2023) Vol. 15, pp.41-44.

[59] H. Matsuyama, M. Kao and K. Umeno, Independent component analysis communication using complex spreading sequence with constant power, JSIAM Letters (2023) Vol. 15, pp.37-40.

[58] P. Zitis, S. Kakinaka, K. Umeno, M. Hanias, S. Stravrinides and S. Potirakis, Investigating Dynamical Complexity and Fractal Characteristics of Bitcoin/US Dollar and Euro/US Dollar Exchange Rates around the COVID-19 Outbreak, Entropy (2023) Vol. 25, 214. https://doi.org/10.3390/e25020214

(2022)

[57] 梅野健, 可解カオスの数理と応用(4)ー可解カオスの揺籃としての虚数乗法論ー, 応用数理(2022), Vol. 32, No.4, pp. 221-234. https://doi.org/10.11540/bjsiam.32.4_221

[56] S. Kakinaka and K. Umeno, Asymmetric volatility dynamics in cryptocurrency markets on multi-time scales, Research in International Business and Finance (2022) Vol. 62,101754.

[55] T. Kano and K. Umeno, Chaotic synchronization of mutually coupled systems–arbitrary proportional linear relations, Chaos (2022) Vol. 32, Issue 11, 113137.

[54] 梅野健, 可解カオスの数理と応用(3)―情報保存則と完全暗号―, 応用数理(2022), Vol. 32, No.3, pp. 160-169. https://doi.org/10.11540/bjsiam.32.3_160

[53] 梅野健, 可解カオスの数理と応用(2)―双対性―, 応用数理(2022), Vol. 32, No.2, pp. 99-108. https://doi.org/10.11540/bjsiam.32.2_99

[52] K. Okubo and K. Umeno, Universal critical behavior of transition to chaos: Intermittency route, Progress of Theoretical and Experimental Physics (2022), Vol. 2022, Issue 7, https://doi.org/10.1093/ptep/ptac087

[51] M. Shintani and K. Umeno, General dynamic pricing algorithms based on universal exponential booking curves, JSIAM Letters (2022), Vol. 14 , pp. 49-52.  https://doi.org/10.14495/jsiaml.14.49

[50] M. Shintani and K. Umeno, Time-Rescaling regression method for exponential decay time series predictions, JSIAM Letters (2022), Vol. 14 , pp. 45-48.  https://doi.org/10.14495/jsiaml.14.45

[49] 梅野健, 可解カオスの数理と応用(1)―可解カオス写像―, 応用数理(2022), Vol. 32, No.1, pp.37-45.

https://doi.org/10.11540/bjsiam.32.1_37

[48]Y. Hikima, A. Iwasaki and K. Umeno, The reference distributions of Maurer’s universal statistical test and its improved tests, IEEE Transactions on Information Theory (2022), Vol. 68, No. Issue 4, pp.2674-2683. DOI:10.1109/TIT.2021.3131691

[47]S. Kakinaka and K. Umeno, Cryptocurrency market efficiency in short- and long-term horizons during COVID-19: An asymmetric multifractal analysis approach, Finance Research Letters (2022) 102319. https://doi.org/10.1016/j.frl.2021.102319

(2021)

[46]K. Umeno, R. Nakabayashi, T. Iwata and M-H. Kao, Capability of TEC correlation Analysis and Deceleration at Propagation Velocities of Medium-Scale Traveling Ionospheric Disturbances: Preseismic Anomalies before the Large Earthquakes, Open Journal of Earthquake Research (2021), Vol. 10, No. 4

DOI: 10.4236/ojer.2021.104008

[45]K. Umeno(2021). Elucidation of Chaotic Market Hypothesis Based on Ergodic Theory. In: Nishimura, K., Murase, M., Yoshimura, K. (eds) Creative Complex Systems. Creative Economy. Springer, Singapore. https://doi.org/10.1007/978-981-16-4457-3_12

[44]S. Kakinaka and K. Umeno, Exploring asymmetric multifractal cross-correlations of price-volatility and asymmetric volatility dynamics in cryptocurrency markets, Physica A (2021) Vol. 581, 126237. https://doi.org/10.1016/j.physa.2021.126237

[43]K. Okubo and K. Umeno, Infinite ergodicity that preserves the Lebesgue measure, Chaos (2021) Vol. 31, 033135. https://doi.org/10.1063/5.0029751

[42]K. Inoue, T. Mao, H. Okutomi and K. Umeno, An extension of the entropic chaos degree and its positive effect, Japan J. Indust. Appl. Math. (2021) Vol. 38, pp. 611–624. https://doi.org/10.1007/s13160-020-00453-9

[41]H. Tsuda and K. Umeno, Randomization Approaches for Reducing PAPR with Partial Transmit Sequence and Semidefinite Relaxation, IEICE Transactions on Communications, (2021) E104.B, pp. 262-275. https://doi.org/10.1587/transcom.2019EBP3243

(2020)

[40]S. Kakinaka and K. Umeno, Flexible two-point selection approach for characteristic function-based parameter estimation of stable laws, Chaos (2020) Vol. 30, Issue 7,073128.

https://doi.org/10.1063/5.0013148

[39]大久保健一, 梅野健, 一般化Boole変換におけるLyapunov指数の理論値を用いたレーザーカオスのカオス性評価, レーザー研究 (2020) Vol. 48, pp. 255-258. https://doi.org/10.2184/lsj.48.5_255

[38] 井上 啓真尾 朋行桒島 史欣堀田 大道奥富 秀俊梅野 健, 修正(拡張型)カオス尺度による半導体レーザーカオスの時系列解析, レーザー研究 (2020) Vol. 48, pp.239-244.  https://doi.org/10.2184/lsj.48.5_239

[37]中澤 勇夫, 梅野 健, Almost Periodic Frequency Arrangement (APFA)のカオス性, レーザー研究 (2020) Vol. 48, pp.233-238. https://doi.org/10.2184/lsj.48.5_233

[36] K. Igarashi, T. Tsuchiya and K. Umeno, Characteristics of Anomalous Radio Propagation before and after the 2011 Tohoku-Oki Earthquake as Seen by Oblique Ionograms, Open Journal of Earthquake Research (2020) Vol. 9 No.2 DOI: 10.4236/ojer.2020.92007 

[35]I. Nakazawa and K. Umeno, Chaotic property of almost periodic frequency arrangement (APFA), JSIAM Letters (2020) Vol. 12, pp.9-12.  https://doi.org/10.14495/jsiaml.12.9

[34]S. Kakinaka and K. Umeno, Characterizing Cryptocurrency Market with Lévy’s Stable Distributions,

Journal of the Physical Society of Japan (2020), Vol. 89, 024802. https://doi.org/10.7566/JPSJ.89.024802

(2019)

[33]真尾朋行,奥富秀俊, 梅野健 カオス尺度とリアプノフ指数の差の解釈に基づく修正カオス尺度の提案,

日本応用数理学会論文誌, Vol. 29, No. 4, pp.383-394. https://doi.org/10.11540/jsiamt.29.4_383

[32]T. Mao, H. Okutomi and K. Umeno, Investigation of the difference between Chaos Degree and Lyapunov exponent for asymmetric tent maps, JSIAM Letters (2019) Vol. 11, pp.61-64.  https://doi.org/10.14495/jsiaml.11.61

[31]S. Goto, R. Uchida, K. Igarashi C-H. Chen, M-H. Kao and K. Umeno, Preseismic Ionospheric Anomalies Detected Before the 2016 Taiwan Earthquake, Journal of Geophysical Research:Space Physics (2019) Vol. 124, Issue, pp. 9239-9252. https://doi.org/10.1029/2019JA026640

(2018)

[30]K. Okubo and K. Umeno, Universality of the route to chaos: Exact analysis, Progress of Theoretical and Experimental Physics (2018) Vol. 2018, Issue 10, 103A01. https://doi.org/10.1093/ptep/pty094 

[29]A. Iwasaki and K. Umeno, Randomness Test to Solve Discrete Fourier Transform Test Problems, IEICE TRANSACTIONS on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences(2018) Vol. E101-A, pp.1204-1214. DOI: 10.1587/transfun.E101.A.1204

[28]M. Shintani and K. Umeno,Super Generalized Central Limit Theorem —Limit Distributions for Sums of Non-identical Random Variables with Power Laws—, Journal of the Physical Society of Japan (Letter) (2018) Vol. 87, 043003 https://doi.org/10.7566/JPSJ.87.043003

[27]岩瀬 悠哉; 成瀬 康; 横田 悠右; 梅原 広明; 梅野 健, 歩行中の脳波に含まれるワークロード信号のブラインド信号源分離を用いた抽出, ヒューマンインタフェース学会論文誌(2018) 20巻3号, pp.353-360.

https://doi.org/10.11184/his.20.3_353

[26]H. Tsuda and K. Umeno, Weyl Spreading Sequence Optimizing CDMA, IEICE Transactions on Communications (2018) Vol. E101B No.3 pp.897-908. DOI: 10.15187/transcom.2017EBP3139

[25]A. Iwasaki and K. Umeno, Three theorems on odd degree Chebyshev polynomials and more generalized permutation polynomials over a ring of module \(2^w\). Japan J. Indust. Appl. Math.(2018) 35, pp.49–69. https://doi.org/10.1007/s13160-017-0275-7

[24]S. Goto and K. Umeno, Maps on statistical manifolds exactly reduced from the Perron-Frobenius equations for solvable chaotic maps, Journal of Mathematical Physics (2018)Vol. 59, Issue 3,

https://doi.org/10.1063/1.5001841

[23]M. Shintani and K. Umeno, Conditional Lyapunov exponent criteria in terms of ergodic theory, Progress of Theoretical and Experimental Physics (2018) Vol. 2018, Issue 1, 013A01, https://doi.org/10.1093/ptep/ptx168

[22]H. Tsuda and K. Umeno, Non-Linear Programming: Maximize SINR for Designing Spreading Sequence, IEEE Transactions on Communications (2018) Vol. 66, Issue 1, pp.279-289. DOI: 10.1109/TCOMM.2017.2748595

(2017)

[21]I. Nakazawa and K. Umeno, Fundamental study on almost periodic frequency arrangements for super-multi-access radio communication systems, IEICE Communications Express (2017) Vol. 6, No.12,pp.673-678. https://doi.org/10.1587/comex.2017XBL0135

[20]K. Okubo and K. Umeno, Physical Model of Energy Fluctuation Divergence, Journal of Condensed Matter Nuclear Science (2017) Vol. 24,Issue 1, pp.252-257.

[19]A. Iwasaki and K. Umeno, Further improving security of Vector Stream Cipher, Nonlinear Theory and Its Applications, IEICE (2017) Vol. 8, No. 3, pp.215-223. https://doi.org/10.1587/nolta.8.215

[18]H. Okada and K. Umeno, Randomness Evaluation With the Discrete Fourier Transform Test Based on Exact Analysis of the Reference Distribution, IEEE Transactions on Information Forensics and Security (2017), Vol. 12, Issue 5, pp.1218-1226. DOI: 10.1109/TIFS.2017.2656473

[17]T. Iwata and K. Umeno, Preseismic ionospheric anomalies detected before the 2016 Kumamoto earthquake, Journal of Geophysical Research:Space Physics (2017) Vol. 122, Issue 3, pp.3602-3616.https://doi.org/10.1002/2017JA023921

[16]A. Iwasaki and K. Umeno, One-stroke polynomials over a ring of modulo \(2^w\), JSIAM Letters (2017) Vol. 9, pp.5-8. https://doi.org/10.14495/jsiaml.9.5

[15]K. Okubo and K. Umeno, New Chaos Indicators for Systems with Extremely Small Lyapunov Exponents, In X. Leoncini, C. Eloy and G. Boedec (eds.) Chaos, Complexity and Transport (2017), pp.185-203. https://doi.org/10.1142/9789813202740_0011

(2016)

[14]H. Tsuda and K. Umeno, Orthogonal basis spreading sequence for optimal CDMA, JSIAM Letters (2016) Vol. 8, pp. 77-80. https://doi.org/10.14495/jsiaml.8.77

[13]T. Iwata and K. Umeno, Preseismic ionospheric anomalies detected before the 2016 Kumamoto earthquake, Journal of Geophysical Research:Space Physics (2017) Vol. 122, Issue 3, pp.3602-3616.

https://doi.org/10.1002/2017JA023921

[12]K. Umeno and K. Okubo, Exact Lyapunov exponents of the generalized Boole transformations, Progress of Theoretical and Experimental Physics (2016) vol. 2016, Issue 2. https://doi.org/10.1093/ptep/ptv195

[11]A. Iwasaki and K. Umeno, Improving security of Vector Stream Cipher, NOLTA , IEICE(2016) Vol. 7, Issue 1, pp. 30-37  https://doi.org/10.1587/nolta.7.30

[10]K. Umeno, Ergodic transformations on R preserving Cauchy laws, NOLTA , IEICE(2016) Vol. 7, Issue 1. pp.14-20(Invited Paper). https://doi.org/10.1587/nolta.7.14

(2015)

[9]H. Okada, K. Umeno, D. Handoko, M. Ihsan, R. Maharani, P. Nursetia, H. Rosyad, Warsito, Brain Electrical Capacitance Volume Tomography Signals Analysis with Moving Maximum Lyapunov Exponents,Advanced Science, Engineering and Medicine (2015), vol. 7, No. 10, pp. 897-899.DOI: https://doi.org/10.1166/asem.2015.1783

[8]大久保健一,梅野健,弱カオス系のカオス性判定について, 日本応用数理学会論文誌(2015), vol.25, No.3, pp. 165-190.https://doi.org/10.11540/jsiamt.25.3_165

[7]岡田大樹, 梅野健, 新たな非線形時系列解析の手法 -移動最大リアプノフ指数線によるカオス解析-,

レーザー研究(2015), Vol. 43, No. 6,pp.359-364. https://doi.org/10.2184/lsj.43.6_359

[6]Chen-An Yang, Kung Yao, Ken Umeno, and Ezio Biglieri, “Superefficient Monte Carlo Simulations” in Simulation Technologies in Networking and Communications Selecting the Best Tool for Test, Edited by Al-Sakib Khan Pathan, Mohammad Mostafa Monowar Shafiullah Khan (CRC Press, 2015) pp.69-91.

(2014)

[5] R. Takahashi and K. Umeno, Performance Evaluation of CDMA Using Chaotic Spreading Sequence with Constant Power in Indoor Power Line Fading Channels, IEICE TRANSACTIONS on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences (2014), Vol. 97-A, No. 7, pp.1619-1622.

(2013)

[4] K. Umeno and M-H. Kao, Chaos Theory as the answer to limited spectrum?, ITU News (2013) No. 10. https://www.itu.int/bibar/ITUJournal/DocLibrary/ITU011-2013-10-en.pdf

[3] C-A. Yang, K. Yao, K. Umeno and E. Biglieri, Using Deterministic Chaos for Superefficient Monte Carlo Simulations, IEEE Circuits and Systems Magazine (2013), Vol. 13, pp.26-35.

[2] 梅野健, 情報の統計力学, 数理科学 (2013) No. 600, pp.35-41.

[1] K. Umeno and A-H. Sato, Chaotic Method for Generating q-Gaussian Random Variables, IEEE Transactions on Information Theory (2013) Vol. 59, Issue 5, pp.3199-3209.