2025年8月2日、産経新聞びっくりサイエンスに時間の矢についての論文が紹介されました。

「時間の矢」はどこから来るのか 時間反転対称な世界の不可逆性、長年の謎を数学的に証明(2025年8月2日08:00)

産経新聞社黒田悠希記者による取材執筆:

ガラボッティ氏(Giovanni Gallavotti

の評価部分を記事から抜粋:

この研究について、カオス理論や統計力学の研究で多くの業績があり、この分野で

極めて重要な先行理論を築いてきたイタリアの数理物理学者、ジョバンニ・ガラボッ

ティ氏(ローマ・ラ・サピエンツァ大名誉教授)は、産経新聞の取材に対し、第三者

的な立場から、次のようにコメントした。

「この研究が、論文で主張されている通り正確であれば、理論的に非常に興味深い

結果だ。特に、本来は予測可能で規則的な振る舞いをする単純な物理モデルが、数値

的な計算手法の中では予測困難な複雑なカオス的振る舞いを示すことが注目に値す

る」

一方で、慎重な視点も示す。「一般に、時間反転対称であっても、それだけでカオ

スが生じるとはかぎらない。対称性が『自発的に破れる』ことでカオスが現れる例は

数多く、この研究がそうした状況にまで拡張されれば、概念的に非常に重要な一歩に

なるだろう」

梅野氏、大久保氏の今回の研究は、時間を一歩ずつ刻む離散化という手法で時間の

流れを扱っている。ガラボッティ氏は、現実の物理系への拡張を見据えた課題などに

ついて「私が特に興味を持っているのは、時間発展の離散化アルゴリズムの違いによ

って、どのような条件下でアナソフ的なカオス現象が現れるかだ」と指摘。

また、今回の成果は、2つの変数だけで運動が決まり、エネルギーと運動量という2

つの量が常に一定に保たれるという、非常に特殊な条件のもとで得られたものだ。こ

のため、ガラボッティ氏は、より複雑な現実の物理システムに応用するには、さらな

る拡張が必要だとしている。』

 

リリース元プレスリリース:

可逆なシステムにおいて時間の矢を持つのは何故か―ある時間反転対称性を持つ系からアナソフ性の証明へ―(2025-07-03)

 

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